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2026年4月15日、Business forumさんの協力で、「AIエージェント時代のシステム戦略」をテーマにCIO Round Table 2026を開催いたしました。
各エンタープライズのCIOの方々にもお集まりいただいて、DXについての講演や意見交換を行い、非常に有意義なお時間となりました。
本記事では、当日お越しいただけなかった皆様にもその熱気をお伝えすべく、本セッションで伝えられた内容のまとめと、ディスカッションでのトピックをレポートいたします。
大変興味深い内容が目白押しですので、自社のDX・AI活用にお悩みの方々は是非お目通しください!

登壇メンバー
矢島 孝應 氏 特定非営利活動法人 CIO Lounge理事長
板野 則弘 氏 三菱マテリアルITソリューションズ株式会社 代表取締役社長

近年のスポーツ界での目覚ましい躍進とは対照的に、日本のビジネス・経済は「構造的な停滞」に直面しています。
IMDの世界デジタル競争力ランキングで日本は低迷を続け、2000年に世界1位だった製造業の労働生産性も大きく後退しました。
デジタル化に出遅れた背景には、大きく3つの致命的な要因が存在します。

DXの本質は単なるIT化ではなく、自社の目的に合わせてビジネスモデルを再創造する「BX(ビジネストランスフォーメーション) by デジタル」です。
日本のIT人材の約7割がベンダーに偏る「丸投げ構造」から脱却し、今後のCIOは単なるシステム管理者ではなく、Enterprise Architecture(EA)設計する「ビジネスアーキテクト」になる必要があります。経営・現場・IT部門が「三位一体」となって組織を再構築することが不可欠です。
これからの経営戦略では、従来のPEST分析ではなく、技術を最上位に置く「TPES(技術→政治→経済→社会)」の視点が求められます。生成AIが自律的にプログラミングを行える時代において、「IT人材不足」はもはや変革を避ける言い訳になりません。
松下幸之助氏が説いたように、自然の理法や変化に対して先入観を持たない「素直な心」で向き合えるか。
過去の成功体験を捨て去る覚悟が、今の日本の経営者とCIOに問われています。

米国では半年で終わるようなERP(統合基幹業務システム)導入が、日本で2年以上かかってしまう背景には、日米の根本的な構造の違いがあります。
「誰のため」のシステムか: 米国は経営層のためにシステムを導入し業務を標準(Fit to Standard)に合わせますが、日本は現場のためにシステムを作ろうとするため、現状の業務を変えることに猛反発が起き、カスタマイズ(アドオン)が膨らみます。
数の暴力と完璧主義: 日本は自動車のオプションの組み合わせが米国の何倍(ケースによっては1億種類)にも達するなど、現場が扱う変数が圧倒的に多い「数の暴力」に直面しています。
さらに、バグを1つも許さず稼働前に完璧に作り込もうとする姿勢が、プロジェクトの肥大化と遅延を招いています。
2030年に数十万人のIT人材が不足すると言われていますが、データによれば日本人の読解力や数理的思考力、そしてSE個人の平均的な能力は世界トップクラスです。
日本の問題は人材の質ではなく、SaaSやパッケージを導入してもスクラッチ開発と同様に要件定義から作り込んでしまう「プロジェクトの無駄な大きさ」にあります。
AIの活用は、こうした構造的な非効率から人間を解放する手段として期待されます。

デジタル化の真の目的は、単なる効率化によるコストカットだけではありません。効率化の先にある「可視化」によって人が気づきを得ることこそが重要です。
AIによる効率化で生み出された時間を、人間が新たな価値を生むための「考える時間(思考時間)」に投資することが重要です。
人のパフォーマンスは「スキル×モチベーション」だけでなく、経営層や管理職がいかに部下の「思考時間」を作れるかによって最大化されます。
「AIが98%を肩代わりしてくれる時代、あなたは自らの『思考時間』を使い、どの『2%の意思』に命を吹き込みますか?」
各企業のCIOやIT部門長によるセッションでは、現場の生々しい課題と、IT部門が今後担うべき本質的な役割について深い議論が交わされました。

外部攻撃や内部不正、有事のBCPを見据えたセキュリティ・レジリエンスの強化が急務となっています。
同時に、自社で考える力を取り戻すための「内製化」も加速しており、数百人規模の開発体制構築などの事例が共有されました。
一方で、オフショア開発の品質管理や、退職するベテランの暗黙知をいかにAIへ蓄積・継承するかといった壁にも各社直面しています。
現場に浸透しづらい「DX」の代わりに「AX(AI活用)」という言葉を使って変革を促す事例が紹介されました。
AIへ大きく舵を切る企業がある一方で、思考や最終判断までAIに丸投げせず、「人が判断するプロセス」を残す人間中心の姿勢が強調されています。
AIは単なる効率化だけでなく、従業員のコンディション可視化など「経営品質」の向上に使うべきだとの提言もありました。

ERP導入時に現場の入力負荷が増え、猛反発で凍結した失敗例が示す通り、現場の要望をすべて聞くシステム作りは結果的に事業戦略に貢献できません。
日本企業に不足しがちな「ビジネスプロセス」と「データ」の全社的なオーナーシップは、全体を俯瞰できるIT部門(CIO)自らが握り、自ら設計して経営陣へ訴えかけていく必要があります。
デジタルやAIの導入が進めば進むほど、業務プロセスを自ら設計し、新たな価値を生み出す「人の力」がより一層不可欠になります。
IT部門は「現場の御用聞き」を卒業し、経営視点でビジネスや組織をデザインする中核へと進化しなければならないと、締め括られました。

今回のイベントを通じて、日本のDXが進まないボトルネックや、各社がDXで抱えている課題は決してユニークなものではないということを再確認することができました。
ご参加いただいた皆様、そして貴重なお話をいただいた矢島様・板野様、誠にありがとうございました。
コパードでは今後も、皆様のビジネスのヒントとなるようなイベントを継続して開催してまいります。
次回の開催もどうぞご期待ください。
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