「人月単価」に基づいた労働集約型のSIのビジネスモデルは、AIによる圧倒的な生産性向上を前にどう変化すべきなのか。そして、リーダーは組織をどのような方向へ導くべきか。
「AI時代の勝ち筋」をテーマにAIを駆使してIT業界を牽引する3氏による「Copado Partner Strategy Summit 2026」での熱い議論をお届けします。

ディスカッションの冒頭、セールスフォース・ジャパンの鈴木氏は、私たちが直面している変化を「マネジメントの再定義」であると説きました。
従来のAIはコマンドで結果を得る「道具」でしたが、自律的なAIエージェントの登場でその関係は一変しました。鈴木氏はこれを「新卒の部下を育てる感覚」と表現。フィードバックを通じて精度を高めるプロセスが不可欠となり、今後のリーダーにはITスキル以上に、AIをいかに教育し成果を最大化させるかというマネジメント能力が問われます。
この変化は、エンジニアの役割も変えます。AI inside の前田氏が語るように、コードの8割をAIが書く未来では、人は「作業」から解放されます。代わりに、複数のAIを束ねて責任ある「判断」を下すオーケストレーター(指揮官)としての立ち位置が求められるようになります。
リバネスナレッジの吉田氏も、対話によって要件定義やプロトタイプが即座に形になる現状を挙げ、「昨日までの常識を捨て、進化の波に飛び込むスピード感」こそが、これからのプロフェッショナルの条件であると強調しました。
議論は、SIビジネスの根幹である収益モデルへと踏み込みました。ここで会場に緊張感が走ったのは、前田氏がユーザー企業の本音を代弁した、次のような言葉でした。
「これまでのSIビジネスは、実質的にベンダー側の若手を教育するためのコストを、ユーザー企業が人月単価として肩代わりしてきた側面がある」
AIによる開発が加速し、生産性が劇的に向上する中で、ユーザー企業の投資先は「工数」そのものではなく、自社の資産となる「プラットフォーム」や「AI人材」へと明確にシフトしています。前田氏は、従来のような「若手育成の場」の性格を帯びたモデルは、その妥当性を厳しく問われるようになると説きました。
パネリストたちの意見が一致したのは、収益モデルを「工数(人月)」から、提供価値や速度に基づく「アウトカム(成果)」ベースへと、痛みを伴ってでも移行させる必要性です。
吉田氏は、この変革によって生まれる「余白」こそが、ビジネスを拡張させる真のチャンスであると強調しました。AIエージェントの活用により、これまで「コストや時間が合わない」と諦めていた領域でのサービス提供が可能になります。削減された工数を単なるコストカットで終わらせず、高度な課題解決や新規事業へ再投資する。このシフトこそが、自社の収益性を高めるだけでなく、停滞する日本全体の生産性(GDP)を底上げしていく大きな可能性についても言及されました。
しかし、どれほど優れた戦略も、組織のリーダーが変わらなければ実行されません。議論の最後、変革を阻む「意識の壁」について鋭いメッセージが投げかけられました。
吉田氏は、ガバナンスを重視するあまり「石橋を叩きすぎて動けない」日本のリーダーに警鐘を鳴らしました。守りに固執して技術から遠ざかること、つまり「打席に立たないこと」自体が、今や最大のリスクなのです。指数関数的に進化するAIの世界では、完璧な理解を待ってから動くのでは遅すぎます。実際に触れて試行錯誤を繰り返さなければ技術感度は磨かれず、結果として変化の波に取り残され、挽回不能な差をつけられてしまうからです。
前田氏も、日本企業に根深い「守りと攻めのDX」の断絶が変革を阻む要因であると同様の課題意識を共有しました。情報システム部門がガバナンスを理由に「攻め」の足を引っ張る構造を解消し、デジタル主導で組織を統合していくべきだという考えを示しました。差別化のない領域は既存資産を再利用してコア価値へリソースを集中させ、ROIを急がずリーダーが自ら「打席に立つ(=試行錯誤への投資)」という判断を下す重要性を説きました。
最後に鈴木氏は、リーダー自身がAIを使い倒す「Customer Zero」の重要性を説きました。完璧を求めず、7割の精度で走らせながら短サイクルで改善を繰り返す。その「試行錯誤を許容する文化」をリーダー自身の行動で示すことこそが、組織を動かす唯一の道であると語り、セッションを締めくくりました。
「知識とプラットフォーム」によって実現する成果で勝負する。今回のディスカッションが示したのは、AIという最強のパートナーを指揮し、これまで不可能だった価値を創造する未来でした。
Copadoはパートナーの皆様と共に、AIエージェントとの共創によるSalesforce開発・運用の変革を強力に推進し、お客様のビジネスにおける真の成果(アウトカム)創出に寄与してまいります。
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