
CopadoではDreamforce 2026の期間中、日本のお客様・パートナーの皆様をお迎えし、
「Agentic Enterprise時代のSalesforce開発・運用の新標準」をテーマとした日本特別セッションを開催しました。
Copado CEOのTed Elliottに加え、株式会社IDOM 野原 昌崇氏、NTTテクノクロス株式会社 高梨 聡太氏、合同会社デロイト トーマツ 濱田 美寿氏にご登壇いただきました。
AIエージェントを「導入するかどうか」を議論する段階から、いかに実際のビジネスに組み込み、安全にスケールさせていくかへ。約1時間のセッションでは、企業経営、現場でのAI活用、開発・運用、そしてガバナンスまで、多角的な議論が交わされました。
冒頭に登壇したCopado CEOのTed Elliottは、AIとDevOpsが融合していく中で重要になる、「AgentOps」と、それを実行するCopadoのプラットフォーム「Agentia」について紹介しました。
AIエージェントによって開発や業務のスピードが飛躍的に高まる一方、それを企業全体へ展開していくためには、単に「速くする」だけでは十分ではありません。AIがどのような判断を行ったのか。どのような変更が加えられたのか。組織のポリシーに沿っているのか。
AIエージェントを本格的に活用するほど、企業にはその動きを管理し、信頼できる状態をつくることが求められます。Tedは、AgentOpsをスケールさせる前提として「信頼・ガバナンス」の重要性を強調しました。

そして、スケールを支えるもう一つの要素として挙げられたのが「コミュニティ」です。
Copadoでは、認定資格やトレーニングを通じてAIやAgentOpsの知識を持つ人材を増やす取り組みをグローバルで進めています。日本でもユーザーコミュニティを立ち上げ、AIエージェント時代を担う人材が互いに学び、経験を共有できる場を育てていきます。
続いて登壇したのは、中古車販売「ガリバー」を展開する株式会社IDOMの野原氏です。
IDOMは売上高5,600億円、全国444店舗、社員4,000名、中古車小売市場におけるシェア6.5%を誇る業界トップクラスの企業です。認知度95%を誇る一方、大手3社を合わせても市場シェアが15%程度という競合が分散した業界構造の中で、さらなる成長を目指しています。
IDOMでは現在、DX(Digital Transformation)とAX(AI Transformation)を同時並行で進めています。
印象的だったのは、「DXがまだ終わっていない」という率直な言葉です。まず業務をデジタル化し、データやシステムの基盤を整備してからAIへ進むという段階的なアプローチも考えられる中、AIの急速な進化を前に、その順番を待っている時間はないという判断のもと、Salesforceを活用した業務改革を進めながら、すでにAgentforceを実業務へ取り入れ、DXとAXを並行して推進しています。

その背景にあるのは、AIを単なる業務効率化ツールとしてではなく、業界のビジネスモデルや競争構造そのものを変え得る存在として捉える経営視点です。
野原氏は、将来自社を脅かす存在は現在の競合企業とは限らず、これまで想定していなかった新たなプレイヤーが、テクノロジーによって業界のゲームチェンジャーとなる可能性を指摘しました。だからこそ、「AIを使うか、使わないか」という選択ではなく、AIエージェントが当たり前に使われる世界を前提に、今から変革を進める必要があるという考えです。
セッションの中でも特に印象的だったのが、野原氏がCopado導入理由について語った言葉です。
「時間を買う」
システムへの投資は、それ自体が目的ではありません。システムをより早くリリースし、ビジネス成果をより早く生み出すための投資です。
IDOMではCopadoのCI/CDやテスト自動化を活用することで、開発・運用業務を効率化し、そこで生まれた時間を、より価値の高い開発領域に振り向けています。単純なライセンス価格ではなく、「人がより価値の高い仕事へどれだけシフトし、ビジネスを前に進められるか」という観点から、投資価値を捉えていることが紹介されました。

AIによってアプリケーションのリリースサイクルそのものが加速していくこれからの時代、この「時間を買う」という考え方は、ますます重要になっていくのではないでしょうか。
後半のパネルディスカッションには、NTTテクノクロスの高梨氏とデロイト トーマツの濱田氏が登壇。企業におけるAIエージェント活用の現在地と、その投資価値をどう捉えるべきかについて議論しました。
濱田氏からは、日本の大企業ではAIエージェントを業務プロセス全体に組み込んだケースはまだ多くなく、技術検証やPoCにとどまるケースも多い一方、人材不足など切実な課題を抱える中小企業や地方自治体では、具体的な活用事例が生まれ始めているとの見解が示されました。
一方、高梨氏からは、AIエージェントには、これまで人材やスキルの制約によって得られなかった能力を補完する可能性があること、また開発現場では、人が時間をかけてきた作業を減らし、より価値の高い仕事へ時間を振り向ける活用が進んでいることが紹介されました。

こうしたAIの価値を企業として引き出すためには、投資に対する考え方そのものを変えていく必要があります。
濱田氏は、これまでのIT投資では「どれだけコストを削減できたか」「どれだけ業務を効率化できたか」が重要なKPIとされてきた一方、AIの価値はそれだけでは測れないと指摘しました。
AIエージェントによって業務プロセスをどのように再構築できたのか。その結果、顧客価値や顧客満足度、顧客単価をどれだけ高められたのか。効率化やコスト削減だけではなく、新たに生み出された価値まで含めて投資効果を捉えることが重要になります。
高梨氏からも、単純な工数削減だけを追えば、人にかかっていたコストがAIの利用コストに置き換わるだけになりかねないとの指摘がありました。AIによって生まれた時間を、人がより価値を生み出せる領域へ振り向けられたか。そうした視点も、AIへの投資価値を考える上で重要になります。
また、変える必要があるのは評価指標だけではありません。
AIを取り巻くテクノロジーが急速に進化する中、3年、5年先を前提とした投資計画では変化に追いつくことが難しくなっています。濱田氏は、1年、さらには半年単位で投資計画を見直し、より柔軟に意思決定できる仕組みへ変えていく必要性にも触れました。
そのために欠かすことができないのが、経営層のマインドセットの変化です。最初から確実な成果を求めるのではなく、試行錯誤から得られる学びも価値として捉え、挑戦する現場を後押しする。AI時代には、テクノロジーだけでなく、それを評価し、投資判断する企業側の仕組みや文化も変えていく必要があります。
今回のセッションを通じて見えてきたのは、AIエージェントの活用が「取り組むか、取り組まないか」を選ぶ段階から、AIエージェントが広がることを前提に、企業としてどう向き合うかを考える段階へ移りつつあるということです。
IDOMの野原氏が語ったのは、DXの完了を待ってからAXへ進むのでは、急速な市場の変化に追いつけないという強い危機感でした。AIエージェントが広く使われる世界を前提とすれば、その対応は、企業が競争力を維持していく上で避けて通れないテーマになっていきます。
一方で、進化の速いテクノロジーだからこそ、最初から確実な成果を求めるのではなく、まず取り組み、そこで得られた経験や失敗を次の判断につなげていくことも重要です。
そして、こうした挑戦を止めることなく続けていくために重要になるのが、ガバナンスです。AIを開発・運用領域へ取り入れていく上では、AIが自律的に実行することを前提に、ガードレールを設け、人による確認を組み合わせることで、信頼できる状態をつくる。ガバナンスはスピードを抑えるためではなく、AIによる自律的な実行を安全にスケールさせるための基盤となります。
Copadoは、AgentOpsを実現するプラットフォーム「Agentia」の提供に加え、認定資格やトレーニング、コミュニティを通じて、企業の信頼とガバナンスを確保しながら、Agentic Enterpriseへの変革を支援してまいります。

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